東京

私には自信が無い。自信が無いところには責任感が無い。責任感が無いところに有意義な行動は生まれない。

去年かれこれほぼ1年中就活をした。1年、というと長く感じるが多分多くの大学生がやれ説明会やらインターンやらと就職に関わるあれこれを3回生、もっと言うと大学進学を考える高校生の頃から準備していると思うと私はとても短い期間しか就職について考えなかったし行動しなかった。

地方で就活する人間の多くが突き当たる「上京か地元残留か」という分岐路、私は最初から地元に残ることしか考えていなかった。自分に東京は無理だと思った。そんなに東京行ったことないけど、なんか無理だな〜と思った。どうしてあんなにスッパリそう思ったのか自分でもよく分からない。そうして地元の色んな職種を受けて、幸いにも受かった会社で今働いている。

私は結局どこにいてもそこそこ不満だ。今働いている職場も元々希望していた職種だし、自分で言うのも何だがそこそこ狭き門だった。何で受かったのかよく分からない。ずっと出たかった薄暗い実家も出て南向きの家に今は友達と住んでいる。毎日が嘘みたいに楽しくて、黒い前髪の隙間から見える世界はあまりにも明るい。

それでも今、爆裂に引っ越しがしたい。引っ越ししたばっかりやん、自分でも思う。東京いいな〜。何でいいんやろ?分からない。

これは私の推測だけど、東京がユートピアであるというのは幻想だ。少なくとも私にとって、東京は住みやすい場所ではないと思う。いや、きっと東京に限らず、私はどこにいたって「ここは私の生きていく場所じゃない」と感じる気がする。大学だって1浪して行きたいところに行って、希望の職に就いて、家だって出たのに「ここじゃない」という感覚があるのだ。きっと東京に行っても「ここじゃない」のだ。行く前から分かる。正職員向いてないな。

私は1浪したので、同い年の人は社会人2年目なのだが上京した人はやっぱすごいなあって思う。これも私の邪推だが、人が沢山いてものが沢山あって、色んなものをすり減らしている事にすら気付けないようなまちはきっとなんの味もしないしなんの匂いもしないのだ。真っ白でつるつるで、自動で蓋が開く静かなトイレみたいなスマートさである。色んな匂いがして、人と密着して、誰が触ったのか分からないタオルで手を拭く田舎とは違うのだ。

何年かしたら突然仕事を辞めて東京、はやっぱり無理だから東京の近くへ越したいと最近思う。東京駅で、東京駅まで連れて行って欲しいと言われて連れて行った時にいちご大福と名刺を渡してくれた人が千葉の人だったので千葉もいいなあと思うし、埼玉は何もないという状態があると新入職の同期が言っていたので埼玉とかもいいなあと思う。

やっぱり正職員は向いてない。